雪花火 もう一度 もう一度雪が降ったなら、 二人で一緒に海を見に行こう。 もう、あの夏の海のあの空は けして思い出せないように。 「ねえ、二人とももう辛いから。」 切り出したのは君。頷いたのは僕。 小さな小さな初恋は静かに静かに終わりを迎える。 初めて二人で見た花火。 舞い落ちる火の粉だけ、まだ目に焼き付いている。 あれからどれだけたったのか、僕は数えていないから分からない。 ずっとほったらかしだったっけね、君のこと。 今更、なんて思うだろうけど、ほんの少し後悔している。 海へと消えた花火の粉を、僕等二人に例えたあの日。 ああ、もう一度。 雪がもう一度降ったなら 二人で一緒に海へ行こう。 白で染まったコンクリート。 ビルで埋まった街を抜け、凍てつくような海岸へ。 積もることのないこの白を 二人で見上げて、別れを告げる。 海へと落ちる粉雪にあの火の夏の花火を被せ、今日こそ全てを忘れたい。 決して積もらぬこの雪に君への思いをたくさん乗せて。 「…ああ。…ごめんよ、ありがとう。」 雪、花火。 何時かは消えると分かっていても、その1秒の瞬間に きっと僕は涙を流す。 雪、花火。そして君。 こんなに綺麗な色した恋は、生まれて初めてだったんだ。 僕はもうすぐ消え行くそれを、二度と目にすることはない。 ねえ もう一度 雪が 降ったなら。 僕がそっと呟いた時、 君は独り、 空を見ていた。
三太郎様へ800番感謝文。 ありがとうございました!
これ書いたの2年前だよ。金魚花火とは全然関係ないよ。2年前これと同タイトルの同人誌も出したよ。
と、一応うだうだ書いておく。
塩分を含んでいるから浜辺には雪が積もらないって、金田一少年で読んで感動したんだったっけ。